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現場からの報告〜『グリーフタイム×演劇×仏教』のこと [日々のこと]

「グリーフタイム事務局」との対話の時間の積み重ねでの、ボクの発見は、『聞いても面白くないだろう』とか『人に話すようなことじゃない』と考えがちな「業界」の「ふつう」は、他業界の人にとっては非常にエキサイティングであったりヒントになったりする、ということでした。

ざっくりボクは「演劇業界」で普通にやってるコトを(ほんとに面白い?興味ある?と恐る恐る)話しただけなんですが、宮原さんや佐脇さんには刺激的に受け止めていただき、臨床心理士の現場的な観点から、価値と意味を再発見してもらい、再定義していただいた。

基本的に自分たちのやってること(演劇)は、本番の作品にすべてが集約されていると考えているし、その過程の役づくりの仕方やら、脚本の読み解き方やら、そういったことは、すっかり当たり前のことになってしまっていて、改めて話すようなことでもないと思っていた。

が、それは臨床心理士さんという、考えもしなかった遠いところにいる方の役に立った。これは新鮮な驚きでした。

まあ、臨床心理士さんの役に立つかもねー、とか思いながらお芝居してませんし、ビックリしますわな。

もちろん、臨床心理学にインパクトを与えるような話でもないし、演劇界に波及するような話でもない。ただ、それぞれの現場に立つ者同士が、お互いの現場に持ち帰れるヒントを与えあった、ということに過ぎない。

「役づくりの仕方」と「カウンセリングの現場」の共通点なんて話は、ボクたちにとっても刺激的だった。

應典院の研修室でゴザ敷いて、都合のつく俳優たちも一緒に車座になって、特に話題も限定せずにゆっくりと語り合う。互いの現場での営みに、互いに価値を再発見し合う。価値を再定義される。

まさに「現場からの報告」を最も有効活用出来るのは、「別の現場」の人なのではないかと感じた先に『グリーフタイム×演劇×仏教』はある。

そんな「場」を月1回くらいのペースで、1年弱にわたって積み重ねることが出来た。

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「グリーフタイム事務局」の宮原さんに引き合わせていただいたのは、應典院の前主幹の山口洋典さんです。山口さんの退任パーティーでのことでした。

2009年に應典院で始まった「グリーフタイム」は宮原さんが主宰される、各自がそれぞれのグリーフを見つめることの出来る時間として開催されてきた(と、ボクは理解している)。

山口さんがボクに引き合わせてくださったのは、さっくりと「グリーフタイムに行き詰まりを感じてる」からだとのことで、『演劇の人と話してみたら?』というのは山口さんの計らいらしかった。

その場で「稽古を見たい」という話だったように思うが、「行き詰まり」の内容をちょいちょいと立ち話でうかがうだけで、「そりゃ、稽古見ても参考にはならないよ」という内容だと思ったのと、実際のところ俳優の話を聞かないと参考にはならんなと思ったので、ちょっと対話の時間を設けてみましょうよ、ということになった。

そうして始めた「場」は、1年くらい続いた。

その間に、ボクの作品に足を運んでいただいたり、ボクたちもグリーフタイムに足を運ばせていただいたり。互いの「現場」に足を運びあった。

ゆっくりと積み上げた信頼関係の先に『グリーフタイム×演劇×仏教』は自然と出来上がった。

まあ、イベントのカタチにするのには、ボクが得意分野なので、『こんなんやろうぜ!』って言ったのはボクだけど、その道程で積み上げてきた、お互いの緩やかで強固な信頼関係なしには考えられない。

グリーフタイム約10年の歩みと共にあった【グリーフカード】をボクの演出、満月動物園の女優たちに、委ねていただくのは、軽々な判断ではなかった。

ただ、そのことについてご批判があるなら、「やろう」と言ったのはボクなので、ボクに向けていただきたいと思っている。

互いの価値を再発見する「場」を、あそこまで広げられた、一般のお客様にもお立ち会いいただけるところまで広げられたことに、ボクが持ち帰るモノは多かったです。おそらく、多くの女優たちもたくさんのモノを持ち帰った。

まだ、宮原さんと佐脇さんと反省会とかしてないので、ボクひとりの所感ですが。

おそらく『グリーフタイム×演劇×仏教』で、お客様と共有できたのは時間と場所だけで、思いはそれぞれに持ち帰られたことと思います。思いを共有するための場所でも時間でもなかった、と思うのです。

もしかして、ご参加いただいた皆様それぞれの「現場」に活かせる、ヒントになるようなものをお持ち帰りいただけたなら、そんな光栄なことはないと思っております。

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